石巻市・東松島市・女川町には大津波が押し寄せ、ヒトや家屋とともに多くの動物たちが被災した。石巻支部は、石巻地区動物救護センター活動を実施した。石巻市と災害時協力協定を締結していたが、設置場所が定まらず三箇所目で落ち着いた。総収容動物数は、イヌ146頭・ネコ160匹・カメ3尾・ウサギ2羽・インコ2羽・オウム3羽におよび、うち一時預かり動物数はイヌ102頭、ネコ83匹、トリ3羽であった。一時預かり動物への面会回数は動物一匹当たり平均76回であった。捜索依頼は、石巻市イヌ135頭ネコ168匹、東松島市イヌ37頭ネコ47匹、女川町イヌ4頭ネコ5匹、その他イヌ10頭ネコ15匹であった。獣医療は、イヌ147頭(胃腸炎68、皮膚炎21、外耳炎14、角・結膜炎13,M1、関節炎10、岐傷7、腫場6、ケネルコフ2)、ネコ159匹(FVR73、胃腸炎29、角・結膜炎24、F1V17、口内炎歯肉炎10、耳ダニ7、毛球症6、腎不全・回虫症各4、皮下膿場3、マンソン裂頭条虫症・マダニ寄生・胃炎・外耳炎・勝脱炎各2、尿道結石・済癖・甲状腺充進症・膿胸・牌腫・肥満細胞腫各1)とマイクロチップ装着(イヌ7頭・ネコ102匹)去勢避妊(イヌ17頭・ネコ36匹)ワクチン接種(イヌ104頭・ネコ11匹)狂犬病予防注射(イヌ59頭)ノミダニ駆除(イヌ109頭・ネコ105匹)フィラリア予防(イヌ64頭)手術(イヌ8頭・ネコ1匹)などを施した。所有者不明あるいは所有権放棄されたイヌネコの里親は、宮城県(イヌ25頭・ネコ5匹)、東京都(イヌ8頭・ネコ4匹)、神奈川県(イヌ2頭・ネコ3匹)、その他(イヌ7頭・ネコ9匹)であった。登録されたボランティアは1,498名に上り、5月4日109名、続いて5月3日105名と多く、ゴールデンウィーク以降は土日祝日に多く、一名当たり2.8日従事し、女性が68%を占めた。支援物資は、3月17日が最初で、4月に入って多く届くようになった。ピークは5月で6月に入ると次第に減少した。支援物資は、石巻地区動物救護センターに充当したほかに5〜6月にかけて多い日には15名に分与されたが、7月に入ると急減した。義援金は、4月1日から振り込まれ、ゴールデンウィークまでに最初のピークがあった。ボランティア・支援物資・義援金は、東京都が最も多く、続いて政令指定都市のある道府県が多かった。同年9月30日に閉所し、残務整理には約半年を要した。3月中に立ち上がった仮事務所がホームページ登載・口座開設・ボランティア受け入れ・マスコミ対応を実施し、その後、岡本部の運営方針に従った口一ドマップを作成して内外に周知できたことが、順調な運営と円満な閉所につながったものと考えている。なお、これらの経験を全国各地18箇所のフォーラムなどで報告してきた。
(既報論文)谷津壽郎、早坂敬、首藤正、他:石巻地区動物救護センター活動の概略、宮城県獣医師会会報、第65巻第4号、178〜185(2012)